レースにおける思わぬ暑さと熱中症を考える【セリア通信vol.895】

2024年10月22日

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皆さん、お元気ですか。

第101回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会に行ってきました。
季節外れの真夏日を記録した昭和記念公園内は見ているだけで汗ばむほどの蒸し暑さ・・・。

そんな悪条件を克服して見事、本戦出場を決めた選手・チームの皆さん。
本当におめでとうございます。
後半になればなるほど気温が上昇する中、公園内のアップダウンも物ともせずに走り抜きましたね。
各チームとも、その心身の強さが際立っていたように思います。

一方で、出場権を逃した選手・チームの皆さん。
さぞかし悔しい結果だったことと想像しております。
想像以上の暑さや湿度に苦しんだ選手もいたでしょう。
我が母校の選手たちもわずか「1秒差」に、涙していました。
きっと、その悔しさの分だけ強くなれることと信じて応援しております。

来年こそ!

◆◇本日のメニュー◇◆

1 レースにおける思わぬ暑さと熱中症を考える
2 セリアスタッフの舞台裏【入りのペース】
3 陸上雑感【注目!冬の高校スポーツ】

今年の予選会では思わぬトラブルに見舞われた選手が目立ちました。
報道では季節外れの暑さばかりに注目が集まっていますが、間近で見てきた者として原因を考察してみます。

レースにおける思わぬ暑さと熱中症を考える

◆過呼吸をご存知ですか?◆

一生に一度の大事な試合や大舞台になればなるほど、選手の皆さんは精神的な不安にさいなまれ、緊張が高まることでしょう。
そのような状況下におかれると、知らず知らずのうちに筋肉がこわばってしまい、肩や首周辺の筋肉が硬直してしまい、横隔膜も上がってしまいます。
この状態で走ると呼吸が浅くなってしまうため、息を何度も激しく吐いたり、吸ったりする「過呼吸」になってしまいます。

◆過呼吸になると・・・◆

過呼吸になると、血液のpH*がアルカリ性に傾きます。
そのことが引き金となって、様々な症状を引き起こすのです。

*pHとは・・・水素イオン濃度を表す数値。液体の酸性度やアルカリ度を示す尺度

じつは、激しく呼吸を繰り返すうちに血液中の二酸化炭素濃度が低くなり、呼吸中枢に異変が生じて「息苦しさ」を強く感じるようになります。
そのため「もっと息をしよう」ともがき苦しむうちに、血液がアルカリ性に強く傾きはじめ、それが原因で血管が収縮し、手足の痺れ(しびれ)や筋肉の痙攣(けいれん)が発症するのです。

◆単純な熱中症ではないことも・・・◆

このようにレース中に発症した症状から類推すると、いずれのケースも単純に熱中症と思われがちですが、実は過呼吸が原因と考えられるケースが多いんです。
過呼吸が原因となってアクシデントが発生する選手の多くは、過去にも同じような経験をしていたり、それに近い状況になったことがある選手がほとんどです。
もしくは、それまでに「経験のないほどの過緊張状態となっている」ことなどが考えられます。

◆こんな経験があったら気をつけよう◆

合宿や強化練習中などでも、このような症状に見舞われる選手が多いですね。
練習中に突然、次のような症状に見舞われたことがあったら、それは過呼吸が原因だったかもしれません。
これらはどれも「過呼吸」の症状の一つです。

◆深呼吸を心がけよう◆

過呼吸の症状に心当たりのある方は、常日頃から「深呼吸」をするように心がけましょう。
同時に肩周りの筋肉をほぐすためにも肩甲骨を中心に肩まわしを行いましょう。

「えっ、そんなの当たり前」と、どうか思わないでください。
異常緊張下では、普段やれることがやれないものだからです。
肩の緊張を十分に解きほぐしてから、深い呼吸をゆっくり行なってください。

長距離ランナーの皆さんは、きっと普段は自然と「腹式呼吸」をしているはずです。
横隔膜を上手に上げ下げして、楽な呼吸ができているからこそ、長い距離が無理なく走れるようになったのです。

そんな皆さんが「腹式呼吸」ではなく、緊張のあまり「胸式呼吸」となっていたら、どうなるでしょう?
思うような呼吸が出来ずに、「息苦しさ」を感じるようになってしまうのです。
それがトラブルの原因だと、私は考えています。

ご存知の方もいらっしゃいますが、山さんは学生時代から声楽をやっています。
ですからランニングはもちろん、歌う際にも「腹式呼吸」を行なっています。
そんな私でも緊張すると十分な呼吸が出来ず、呼吸が続かないことがよくあるのです。
だからこそ、ココ一番というときにこそ「腹式呼吸」を意識するために、「深呼吸」をするように心がけています。

このように熱中症や脱水症状、低体温症の原因が「気温」ではなく、「緊張時の過呼吸」であるケースが多いことも、ぜひ覚えておいてください。

::: セリアスタッフの舞台裏【入りのペース】 :::

入りのペースを誤ると後半大変な目にあう。
ランナーなら誰しも分かっていることです。
それでも、それが大舞台になるほど、自己ベスト更新を狙う時ほど、前半から飛ばしちゃうのです。
私も何回失敗したことか・・・。

先の箱根駅伝予選会でも、季節外れの暑さも相まって、前半に突っ込んだ選手たちは本当に大変だったと思います。

これから大事なレースを控える皆さん。
張り切って前半飛ばしすぎて後半大失速することがないよう、入りのペースに気をつけましょう。
暑い時、風が強い時、周りのペースが速すぎる時は特にです。
その時の状況に応じたペーシングをすることで、レースの最後まで力強く走れることを願っております。
(山内)

::: 陸上雑感【注目!冬の高校スポーツ】 :::

駅伝のみならず、全国大会への切符を賭けた高校生の戦いが各地で繰り広げられている。
主な大会は次の通りだ。

全国高校サッカー選手権大会(選手権)
全国高等学校ラグビーフットボール大会(花園)
全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)
全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)
※カッコ内は通称

ラグビー好きの山さんの注目はもちろん、花園だ!
とは言え、サッカーもバレーもバスケも気になるところ・・・。
スポーツ専門チャンネルの契約が止められない理由の一つである。

* * * * * * * * * * * * * * * *

日本の競技場には車寄せがないのが不思議だ。
ご高齢の方や、お体の不自由な方を送迎する際に便利な車寄せがあったらと思うのは私だけだろうか。
駐車場まで入るとなると、何かと大変だから。

では、また来週。


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