Seria Net
No.08


論走
馬酔木賢者

プロに学ぶ。それは感動であり、また感動を与えられるアスリートこそプロだと思う。一般人の領域を遥かに越えた素晴しい哲学を持つ選手たちが沢山いる。ニジガマ選手の故国ブルンジは戦時下にある。遠い日本で最愛の妻と離れて暮らす彼は「平和のために走る」と言う。 鳥人ブブカ選手は世界で最高と言われた旧ソ連のスポーツシステムで育った。「故郷ウクライナのスポーツレベルの向上のために活動したい」と、自費でスポーツクラブを設立し、運営資金作りのためにモナコを本拠地に活動している。日本への帰化が認められたサッカーの呂比須ワグナー選手は「日本への恩返しがしたい」と言う。10代で来日しその才能を見出されはしたものの、一時は冷遇され生活もままならぬ状態だった。 何の為に勝敗にこだわり、何故記録にこだわるのか。名誉もお金も自分ではなく、誰かの為に向けられている。そして、人から力を貰って更に強くなっていくのだ。恵まれた日本選手は一体、社会にどう影響を与えられるのだろうか。考えなおす必要性を痛感している。