Seria Net
No.04


ヤマタケが斬る

マシンか広告塔か?
アスリートの周辺では急速な技術革新が進んでおり、記録に対する興味や期待は、増幅するばかりです。しかし、肉体の入り込む余地の無いハイテクの技術競争が先行し、勝負を左右しかねない時代となってきました。スポーツが企業経済の手段として使われているからです。この点でマスメディアには大きな責任があります。国や組織の利益のために、より速く、より激しく、より危険なことを要求しているのです。駅伝の加熱にも同じ事がいえます。成績の良し悪しで投資の増減が決定するわけですから、選手は当然の様に使い捨てです。いくらマスコミで採り上げたところで、それも一時。選手は一生を通じて頑張れる環境にないのです。どこかに所属しなければ競技生活ができないのが現状です。この体質を変えない限り、真のアスリートは育成できません。企業本位に試合日程が組まれ、結果が出ないと叩かれ、つぶれていく選手の姿を見たくはありません。
原点に立ち返ってスポーツの本質を見極める時がきています。アスリートたちは「マシン」でも「広告塔」でもありません。肉体を鍛え技術を磨き限界に挑むその勇気に感動を受けるのです。スポーツは文化です。政治でも経済でもなく、人間がより豊かに生活するための英知なのです。山根武司