Seria Net
No.03


栄養講座

筋肉の回復にだしの利いた料理
疲れたからだをいかに早く回復させるか。いまや、この命題のもと様々なスポーツ飲料や食品が開発されているが、実は基礎研究の遅れから決定的な理論は未だに確立されていない。このほど発表された英国ダンディー大学レニー氏のグループによる研究は非常に興味深い。遊離アミノ酸の一種、グルタミンが運動後の枯渇した筋肉グリコーゲンの補給にきわめて有効であることが明らかになった。グルタミンとは和食には欠かせない昆布だしのうまみの主成分。 分間の自転車漕ぎ運動後、グルタミンを与え経時的に筋肉を調べたところ、グリコーゲン濃度が %上昇。合宿期や疲れの気になるときにこそ、グルタミンをはじめ筋肉の材料になりやすい遊離アミノ酸を豊富に含むあさりやしじみの味噌汁、魚貝類の鍋料理やおでんをメニューに加えてみてはどうだろう。だしの利いた和食が筋肉をバランスよく回復させることは確かなようだ。ただし、回復成長と栄養の関係はバランスが命。エネルギーが満たされたからといってからだが元どおりとはいえないので注意してほしい。

運動時の水分補給
高温下での練習では1時間に約3〜4ャの汗と一緒にNa、Caなどのミネラルを失い、筋肉の痙攣やひどい場合には脱水症から熱中症にまで至ります。そこでよく冷えた水に少量のNaを加えたものを15分おきにコップ1杯補給すると効果的です。
スポーツドリンクは糖度が高く血糖値の上昇にともないスタミナ切れを起しますので要注意。

活性酸素って何
酸素といえば動物の活動において不可欠なものですが、その中にはO2になりきれずに不安定な状態で動き回っている活性酸素と呼ばれる物質があります。どんな物質にも反応しやすく、例えば細菌やカビなどと反応して破壊、殺菌をします。皆さんがケガをした時に消毒のために使用しているオキシドールなどはそれにあたります。しかし、体内ではタンパク質や脂肪を攻撃して正常な細胞を傷つけガンを誘発したり老化を促進する悪者です。特に脂質と反応して出来た過酸化脂質はいつまでも身体の中にとどまり徐々に浸透して細胞を破壊します。時間をおいた油物や酸化したマーガリンなどは要注意。予防に効果的なのは緑黄色野菜に含まれるベータカロチンです。活性酸素に対抗して細胞の酸化を防ぎます。今まで野菜嫌いだった人もこれからしっかり食べて挽回しよう。

油断禁 食中毒 0157
「O-157」この病原菌による食中毒で食品への不安が一気に高まっている。細菌性食中毒の原因は食物とともに体内に入り込む病原菌。色々な種類があるが、いずれも肉眼で見えないばかりか匂いや味にも変化が現れないので、気づかずに食べてしまうことが多い。嘔吐、腹痛、下痢などを起こし、ひどいときには命も危うい状態に。とにかく細菌を寄せ付けず増やさず退治する努力が必要だ。
食品に触れるもの(手や調理器具)の殺菌。新鮮な食材を調理し、すぐに食べる。生食を避け、よく加熱する。万一、症状が現れたら軽くてもすぐに医師に診てもらう。特に家庭の食卓を守るお母様にお願いしたい。安心して楽しい食事ができるよう「清潔、冷蔵、加熱、早く食べる」を徹底してください。

食品添加物について
厚生省の調査(S63)によると、一人当り一日に摂取する化学合成食品添加物(以下添加物)は70〜80 種類を平均約1.6g、年間約580gにもなります。人生75年として実に43.5kgもの化学合成品を食べている計算になります。
例えばコンビニで買ったサンドウィッチの表示を見てみると、
三色サンドウィッチ(ツナ、タマゴ、ハム)イーストフード、乳化剤、調味料(アミノ酸等)グリシン、ph調整剤、増粘多糖類、リン酸塩、カゼインNa、保存料(ポリリジン、ソルビン酸)、酸化防止剤(VC)、発色剤(亜硝酸Na)、着色料(カロチノイド、コチニール)以上14種類


食品添加物を使用する目的
豆腐をつくるための凝固剤 保存料、殺菌剤、酸化防止剤 うまみ、甘味、酸味などの調味料、着色料、香料、糊料 天然物である着色料(カロチノイド、コチニール)、増粘多糖類、酸化防止剤(VC)などがあります。それ以外にイーストフード、乳化剤、発色剤(亜硝酸Na)など摂らないほうがよいと思われる物もあります。現在許可されている添加物は350種類(天然添加物1051種類を含めて1401種類)でさまざまな毒性試験などが行われ無作用量、1日摂取許容量、使用基準量が定められています。食品を安全に消費者のもとへ届けるために添加されるもので、厳しい検査を経て「人の健康を害しない」と厚生大臣が認めた物質なのだから大丈夫だ、というのが製造側の言い分。
しかし毒性検査にも問題があります。人は添加物だけでなく、他のものと食べ合わせます。そのときの複合的な毒性や体内で変化したときの危険性はまだよく調べられていません。表示義務に満たないものは表示されないので実際に使われている量もわかりません。また許可後、発ガン性が問題となり 使用が中止されたものもあります。
高度成長期以後、ガンやアレルギーなどが急増しました。この頃に最も盛んに使われ始めた添加物と無関係とはいえません。動植物を原料としない化学物質を身体に採り入れたらどうなるか。公害を考えれば答えは明らかです。
いつまでも腐らず、色鮮やかな食品。そんなものはありえないのです。微量でも長期間食べ続けることによって蓄積され身体を確実に蝕んでいきます。コンビニで手軽にお弁当は買えますが、果たして身体にとっていいものか、もう一度考え直して見てください。小林