危険なテープ
神経の大切な働きを外部からの刺激で麻痺させることが今、平気で行われていることに疑問を感じる。ノーズテープは呼吸器の働きを狂わせるものとも考えられる。自律神経はもともと外的影響を受けやすく、たとえば不規則な生活や気候の変化などにも左右されてしまうものなので素人療法は禁物だ。
神経を刺激することによって痛みを取り除いたかのように錯覚させるテープ類はさらに危険だ。もともと何の科学的根拠もないものである。テープの粘着性によって生じる異物感が痛みの伝達を鈍らせているに過ぎない。注射をいやがる子供が腕をつねるのと何ら変わりはない。
それより、危険信号を無視する結果がどれほど恐ろしいかはご存じのはずだ。エキササイズとは自分の身体との対話から始まる地道な考え方であってほしい。まじめな生活、栄養と休養のバランス、そして教養を身につけ真のアスリートを目指してほしい。
クラブスポーツのすすめ
日本のスポーツの在り方が問い直される時が来た。今までの学校や企業単位ではエリートを育てるのに限界があるからだ。チームは宣伝媒体として利用され、存続すら経営に左右される。冬場に紙面を賑わす駅伝やラグビー等が活況を呈し、お金と時間のかかる野球やマイナー競技は削られていく。疎外される選手や指導者の現状は悲しいものだ。そこにスポーツ本来の楽しみや技術体力の向上を探究する姿など無い。
欧米のスポーツを支えているのはクラブ組織だ。日本の企業経営とは違い、自治体や地域住民がさまざまなアスレチッククラブを組織し、会員がクラブハウスの経営、ジュニアの教育からトップアスリートの指導まで行う。地域住民は年齢を問わず自由に参加し施設も利用できる。国代表に選ばれ活躍すれば、殿堂入りして尊敬をうける。クラブハウスに飾られた栄光の選手たちの写真に、我が国にはない歴史と文化を感じる。横浜外人クラブや東京のアメリカンクラブなど、日本にも見習うべき組織がある。科学や芸術と同じように、アスリートの育成にも長い年月と努力がいる。まずはそれを支える組織から改革すべきだ。心身鍛練、専門職的考えを早く捨て、誰もがスポーツを楽しめる理想の場を地域社会のクラブチームに見い出したい。
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