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No.02


君の足は大丈夫か!! 疲労骨折

危険 疲労骨折

正常な背骨 骨粗鬆症の背骨

適度な運動は骨を丈夫にします。一流選手は骨密度が高く競技力も高いといわれます。 しかし最近、発展途上の選手たちの中でオーバートレーニングによる慢性疲労が原因で、骨膜炎、疲労骨折を起こすケースが急増しています。危険な状態に置かれているスポーツ選手の骨、いくつかの実例を基にトレーニングとアフターケアを見直し、防止法としてのカルシウム摂取についても考えてみましょう。

実例1
神奈川県中学生野球部 鎖骨の剥離骨折 キャッチボール中「肩が痛くて投げられません。」といってきたので翌日病院へ。鎖骨の剥離骨折と診断。ギブスを外すのに半月、その後一ヵ月半のリハビリを要し、一時は退部まで考えるほど追い込まれてしまった。
実例2
埼玉県伊奈学園高校 新井さん(3年女子)第3、4指(甲の前部)の疲労骨折、タータントラックでの練習を終えダウンをしている最中に足のつけ根の部分に痛みを感じたのが最初。腱鞘炎だと思い、一週間本練習を中止したが、歩行時でも時折激しい痛みがあった。本練習(4′30″ペースのJOG)に入り一歩目を踏み出した途端に激痛があったが、そのまま約400m程走ってしまった。病院で疲労骨折と診断。今季初レースにかけて少々無理したことカルシウムを一日当たりの半分以下の量しかとっていなかったのが原因。
実例3
コニカ陸上部 藤村選手 高校時代に膝を故障、病院でレントゲンを撮ると、骨がかすんで映っていたのでカルシウム不足と診断された。当時は特に気にしなかったが、実業団に入って、練習量も3倍近くに増え故障も多くなり、左足のケイ骨を2回疲労骨折をしている。骨密度を計る機会があり、一般の人の平均より10単位低い数値とわかり、高校時代から現在までの故障の原因がカルシウム不足から来ているとあらためて実感。現在はカルシウム摂取を強化している。

今回、このような貴重な体験を教えて下さったのも、 アスリートとして同じ経験をしてほしくないとの願いからでした。心から感謝しています。

例をみてもわかるように、実際に痛みを感じたときには骨折寸前か、すでに骨折しているのです。知らず知らずのうちにオーバートレーニングや栄養摂取不足が積み重なってカルシウムが不足し、不足分が骨から溶け出し、骨密度(骨の主成分骨塩リン酸カルシウムの量)が低下します。その結果、疲労骨折や種々の故障が起こります。また、女子選手は減量やストレスから月経異常に陥りやすく、ホルモン分泌に異常をきたし骨密度が低下しやすい傾向にあります。

日本陸連公認トレーナーで城西大学女子駅伝部、流通経済大学陸上競技部で活躍されている馬橋鍼灸接骨院の鈴木克人さんにアドバイスをいただきました。「中学や高校では、時間的な制約などからトレーニングが一様で、能力差が考えられておらず、トップ選手に比べて伸び盛りや準選手クラスに故障が多いのが特徴です。この辺りの選手は、体も心も精一杯のところで頑張っているので要注意です。トレーニングの強度を増す前に、しっかりと疲労を抜くことが大切だということを理解していただきたいと思います。

疲労の慢性化は、故障をまねくだけではなく、気力を減退させ、日常生活の乱れ、ストレスからウエイトオーバー、貧血なども引き起こし、深刻な問題になりかねません。選手である前に、一人の人間として生活環境や成長に気配りが必要だと思います。」

予防策としては、日頃からカルシウム、ビタミン 、タンパク質などの摂取を心がけること(特に夜寝る前が一番大切)。筋力とのバランスを考え、オーバートレーニングに注意し十分な休養をとること。無理なダイエットはしない。コンディションについて日頃から監督、コーチと相談すること。シーエフでは栄養面のサポートとしてカルシウム摂取についてアドバイスします。

カルシウム その必要性
☆ 効率よい摂取方法 ☆
摂取の現状
平成6年「国民栄養調査」の結果では、カルシ ウム(以下 )は依然として不足と厚生省が報告。(栄養所要量600mgに対して平均545mg)筋肉運動で は消費されるので激しいトレーニングをするアスリートには十分な補給が不可欠。

体内分布
^ 骨・歯に99%
骨は体内 の99%を占める。骨を堅く丈夫にする働きのほか、体液中の 濃度を調節する貯蔵庫としての大切な役割を持つ。
_ その他体液などに1%、骨以外にも は生命の誕生や維持活動に不可欠。

カルシウムの働き
@ 骨・歯の主成分(競技者には筋肉と同様に大切)
A 筋肉の収縮  
B ホルモンの分泌
C 白血球の免疫作用
D 血圧の維持
E 神経の刺激や興奮の伝達を調整
F 血圧の の調整
G 消化酵素の活性化
H 血液の凝固(止血)
重要なのは骨と筋肉での働きだ。丈夫な骨があってはじめて強い筋肉が役に立つ。筋トレをするように、骨も丈夫にしなければ骨折(剥離を含む)や変形をおこす。筋肉が縮むときに が必要なので、不足すると手足や心臓、肺の動きまで悪くなる。

怖いカルシウム不足
不足は成人病の原因となるだけではなく、骨粗鬆症やパーキンソン氏病などという難病を引き起こす。

^ 骨粗鬆症(骨折)
骨に蓄えられた が血中に溶け出し不足分をを補うため、骨密度が低下し、すかすかになる。(写真参照)骨折(剥離含む)だけでなく、腰、肩、膝、肘などの関節痛の原因にもなる。女性ホルモンの分泌は 量の調節に密接なので特に女性は気をつけたい。ダイエット中の女性も摂取量が低下しやすいので注意。
_ 運動能力の低下(ケガ、故障)
体液中の1%は維持されているが、筋肉の運動が続くと 濃度が微妙に低下し、思ったように身体が動かなくなり、ケガ、故障の原因となります。
` カルシウム・パラドックス
慢性の 不足で骨からの 流出が頻繁になると逆に血液中の の濃度が高くなり、動脈硬化をおこしたり、尿路結石、パーキンソン氏病を引き起こす。これが『カルシウム・パラドックス』で大変危険な状態。

効率の良い摂取
「寝る子は育つ」というように、寝ている間に成長ホルモンの分泌量は増え、骨や細胞を新しくつくりかえる(新陳代謝)。 などのミネラルやタンパク質、アミノ酸は寝る前に補給するのが最適。
^ セリア
「 を取るのに最も良い食品は?」という質問にほとんどの人が牛乳と答える。しかし東洋人は乳糖や乳脂肪を分解する能力が欧米人より低く多量に摂ることは困難。セリアは だけを効率よく取り出した乳清 を主原料にビタミン 、CPP、クエン酸などをプラスし吸収しやすくなっている。 寝る前に4〜8粒食べるのがよい。
_ 牛乳、乳製品
は加熱しても変質しないので、乳製品を料理に使うのも有効。ダイエット中は低脂肪乳やスキムミルクを利用するとよい。 朝食に牛乳(なるべく温めて)やヨーグルトをとれば、体温の上昇も助け、一日の活動がスムーズに。
` 食事の見直し
小魚や海草からも は摂取できる。ホウレンソウやタケノコに含まれるシュウ酸は、 の吸収を阻害するので、よくゆでこぼすなど工夫をするとよい。
a ビタミン
骨を丈夫にするには だけではなくコラーゲンというタンパク質とビタミン が必要。 セリア も一緒に摂ると効率的。


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