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No.17


日本食のすすめ(13)
究極の日本料理はおふくろの味

日本料理は高級というイメージがあり、懐石料理や割烹と聞いただけでも尻込みしてしまいます。日本料理の起源を『日本書紀』で辿ると、日本武尊(やまとたけるのみこと)の父・景行天皇が房総半島に行幸した際、磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)が鰹と貝を海水で洗って差し上げたとあります。天皇は大変喜び、彼は天皇家の料理を受け持つ事になりました。この時の料理は火を全く用いず、生の新鮮な食材を切ったにすぎません。これが割烹の「割」にあたり、食べやすく切ったり、刻んだりするだけのものです。日本料理はここに重点を置いています。「烹」は熱を加え味付けする事です。日本の家庭料理は、割・烹共にバランス良く含まれ、鰯、鯖、鰺などの大衆魚には、血液の粘度を下げる不飽和脂肪酸が多く含まれ、逆に鯛や平目などの高級魚には少ないのです。穀類、豆類を中心に、野菜と大衆魚で構成される「おふくろの味」は、正に理想的な食事と言えます。若い世代にも定食屋ブームが起きつつあります。日本人の食生活も行き着く処は連綿と受け継がれてきた素朴な味。高級料理の必要など毛頭ないのです。(大)