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No.15


ヤマタケが斬る
箱根駅伝

箱根駅伝は正月の風物詩としてすっかり庶民に定着した。大会運営の主体が関東学生陸上競技連盟(学連)にある事は意外に知られていない。どんなにメディアが介入しても、この基本姿勢はいつまでも守って欲しい。陸上競技長距離界の将来を考えた時、大会のあり方や運営の是非が問われる事もあるだろう。しかし、各方面で指導的立場に立つであろう学卒者にとって、貴重な社会勉強の場なのである。

メディアやスポンサー企業、関係所轄省庁、大学というものがどのような思惑で絡んでいるのか、社会の縮図を垣間見る事が出来る数少ない好機である。だからこそ箱根を目指す学生達に警告したい。画面一杯に映し出される君達の一挙手一投足は全国の子供達に多大な影響を与えている。その事を常に忘れずにいて欲しい。襷を背負って必死に走る姿に嘘は無いはずだ。しかし、ここ数年で爆発的に広まったネックレスやテープにはうんざりする。それらに科学的根拠など全く無い。効果があるとしたら、それはドーピングと何ら変わりは無いではないか。

何故、鍛えてきた肉体だけを信じないのか。かえって選手の努力が薄らいで見える。箱根に至る過程が純粋であるのならば、安易に三流企業の広告塔に成り下がる様な事は是が非でも止めるべきだ。価値観を持たない大学生が流されるのなら、子供達は尚更である。事実、中学校の大会で既にネックレスやテープが広まっている。もっと正しい事が彼等に伝わらなくてはいけない。これだけ多くの人が箱根駅伝を見ているにもかかわらず国民的スター選手が現れないのは、そうした君達の体質にあるのかも知れない。遠い昔、オリンピアの戦士達は、ゼウスの前で潔白の証として裸で闘った事を忘れてはいけない。 (武)