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No.14


たのもう晋平
千葉県小見川町立小見川中学校陸上競技部

風のように駆けて行った少年達

見晴しが良い高台にある学校から臨む広大な景色は、あいにく曇天の雨模様。急勾配の坂を軽やかに風のように駆け上がって来た少年達は爽やかな挨拶で迎えてくれた。グランドコンディションが悪かったので、練習は約八〇〇メートルのロードを一〇周という事になった。アップダウンの激しいコースだ。落ち着いたペースでまず二周。

他のクラブの生徒も注目している。遠慮がちに後ろに付いていると、有田先生が登場。「声を出していかんか!」激が飛ぶと、集団に火が着いた。どんどんペースが上がってゆく。何人もの選手を全国大会に送り出している県内有数のチームだけあり、自在にギアをチェンジし、リズミカルに坂を駆け上がる。必死に食い下がるが、坂が目の前に立ちはだかる。壁を上っているかの様だ。皆の背中が次第に遠退いて行く。八周目についに遅れ出しギブアップ。

「限られた時間の中で密度の濃い練習を」という指導方針は、新キャプテンの長嶋君を中心に浸透し、チームの状態は最高のようだ。汗だくの私を尻目に、ゴールした彼等は息一つ乱れていない。練習を最後までやり遂げられなかったのは初めてだ。シリーズ崩壊の危機。彼等のさらなる成長を願いながら、駅伝でのリベンジを誓ったのだった。