開発途上国の人々は安い賃金で働かされたり、生産物も安く買い取られたり、不当な扱いを受けています。これでは貧しい人々はいつまでも貧しいままです。そこで欧米を中心に生まれた運動がフェアトレード・公正な取引です。途上国の一次生産品や民芸品を買い取り先進国に売って利益の一部をその国の自立に役立てようというものです。勿論生産者にもきちんとした賃金が支払われます。手作りの品は環境問題を見直そうという今日の世界情勢とぴったり合っています。例えば綿一〇〇％のシャツ。自然の繊維というイメージのある綿ですが、栽培するのに大量の農薬が使われている事を御存じですか。農薬は大気や土壌、水を汚染するだけでなく衣類にも残留します。途上国では綿栽培にかかわる人が毎年何万人も中毒で死亡しています。ある意味ではダイオキシンより危険です。フェアトレードでは生産から加工まで化学物質を一切使わない事を指導しています。肥料は家畜の糞や植物の堆肥を、殺虫にはニンニクやチリなどの天然成分を使う事によって、安全なだけでなく、農薬を買う為に多額の借金をする必要もなくなり生活が安定しました。この綿はアレルギー体質の人もかぶれる心配がありません。衣類だけでなく有機栽培・無添加食品、再生ガラスの食器、天然素材で作った石鹸や化粧品、草木で作った雑貨や楽器、文房具など環境と体に優しい物ばかりです。セーターなどは家畜を飼育し毛を刈り紡ぎそして手編みにするまで一貫した手作りです。今は内戦などで国を追われた難民達も生産者に加わっています。