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No.13


日本食のすすめ

江戸の舌

目に青葉 山ほととぎす 初がつを」良い季節になりました。目にしみる青葉、耳には季節を告げる鳥の声、さて初物のカツオを食するか・・・かつて、日本人はまさに五感を駆使して、旬を味わっていました。日本料理は料理をしない料理と言われます。旬の素材の味を大切にし、薄い味付で、そのものの味わいを最大限に引き出す工夫をするからです。
例えば、江戸時代の「三白」。すなわち白菜、豆腐、大根。他に鯛、白魚を加えて「五白」ともいいましたが、どれも淡泊で繊細な味わいです。いっとき、江戸の舌を体験してみませんか。これには、調味料断ちをしてみるのが一番です。インスタントもの、スナック菓子等には当然のように含まれ、家庭でも当たり前になってしまった化学調味料、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、スパイス類、ナトリウム合成塩を、まず断ってみるのです。一週間ほど試してみると、舌が新鮮に甦ってきます。

すると、お米の風味、豆腐の香り、野菜のそれぞれの違いなど、わずかながら分かってきます。また、一度本来の味を覚えると、逆に化学肥料漬けの悪い素材にも敏感になってきます。もう二度と鈍感な舌に戻る気がしなくなるのです。巷の女子高生に大流行りの「マイ・七味」など言語道断。女子高生に限らず、近頃は若い母親の味覚障害が急激に増加しています。
食生活の欧風化によって亜鉛不足が進んでいるためです。「おふくろの味」は崩壊寸前なのです。是非、「江戸の舌」にトライし、日本の正しい食文化を取り戻して下さい。