マグネシウム編
最近話題のマグネシウムはカルシウムにとても似ているミネラルです。
二価のイオン、つまり二本の手を持ち、骨に蓄積されたり、体内で同じタンパク質とくっついたり、様々な酵素反応に関与していたり、互いに密接な協力関係にあります。カルシウムが筋肉を収縮させるのに対して、マグネシウムはその筋肉の収縮を緩める(弛緩させる)働きをします。この二つによって筋肉の運動が行われるのです。筋肉の細胞にカルシウムが入り込み、収縮が始まります。そのカルシウムをマグネシウムが細胞外に出す事によって弛緩するのです。マグネシウムが著しく不足・欠乏すると筋肉が収縮したままになります。つまり、運動中の痙攣はマグネシウム不足が原因なのです。もし心臓の筋肉で痙攣が起これば「急性心不全」となって突然死に繋がります。大変重要な事であるにも関わらず、ほとんど理解されていないのが現状です。カルシウムの必要性が謳われ、食生活の見直しやサプリメントの利用などによって摂取量も増えているのに対して、マグネシウムは最近になってようやくカルシウムの半量(カルシウム六百ミリグラムに対して三百ミリグラム)の摂取が必要とされ、食品成分表にも記載される様になりました。汗で失われやすいマグネシウムは水分と同様、充分な補給が必要です。カルシウムや鉄分に比べて吸収阻害を受けにくいとはいえ、コンビニの弁当などからはほとんど摂れませんし、ましてジャンクフードなどは吸収量を減らす事はあっても増やす事はありません。サプリメントも原料素材が乏しく、質の良いものがありません。例えば、豆腐のニガリの成分である塩化マグネシウムには強い「えぐ味」があり、タンパク質の凝固剤(豆乳が固まって豆腐になる)なので補給用には向きません。下剤として使われる硫酸マグネシウムも補給用にはなりません。天然の素材にも良いものがなく、食事から摂るしかないのです。まずは新鮮な野菜や果物。植物が持っている葉緑素には必ずマグネシウムが含まれています。このマグネシウムはヘム鉄と同じ様にポリフィリンという構造に保護され、高い吸収率を保ちます。次に小麦胚芽などの穀類、大豆やササゲといった豆類やピーナツなどのナッツ類。そして青ノリ、コンブ、ヒジキなどの海藻類と干したイワシやイカ・エビなどの魚介類を充分に食生活に取り入れることが大切です。痙攣を起こしやすい人、カルシウムや鉄分を充分に摂っているのに故障の多い人は特に注意してこれらを食べるようにして下さい。小林