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No.10


ヤマタケが斬る

止めよう安易な造血剤投与、鉄剤注射、点滴治療
陸上選手の間では鉄欠乏性貧血の有無や筋肉の疲労度をチェックする目的で血液検査が当り前の様に行われている。各検査項目について基準値に達しているか否か。数値が高レベルを示せば調子が良いし、低ければ悪いと判断される。余りに悪い場合は医者の治療が必要になる。だが、果たして検査結果だけを基準に選手の体調を判断してしまって良いのだろうか。
特に成長期の選手にとって病気でもないのに治療を受ける事に問題はないのだろうか。スポーツに明るい内科医は不足している現状で、医療体制にも問題がある。スポーツ選手の実情を知らない内科医は検査結果だけで診断を下す。そして時間的制約等から対処療法として造血剤投与や鉄剤注射、点滴治療を安易に行ってしまうケースもある。また、指導者や選手も目先の試合に間に合わせる為に自らこのような治療を要求する例も多い。
不調の主な原因はオーバートレーニングや栄養の摂取不足である。従って栄養指導や練習内容の見直し等に時間をかけて取り組む事が最も大切で、それ抜きで根本的な改善は見られない。また、教育的立場にある者ならば尚更安易な治療を受けさせる事より、何が原因でどうしたら再発を防げるのかを考えるべきだ。何の為に血液検査を受けるのか、を考え直す必要がある。体質に個人差があるのは当然で、他人との比較はほとんど意味が無い。また、オーバートレーニングの判断材料として捉える。
いずれにせよ、検査結果は体からの声無き声である事を忘れてはならない。結果が悪い場合には有無を言わせず、練習にストップをかける勇気を持って欲しい。そして、出来れば検査など必要としないきめ細やかな指導を望む。