満腹感とは
茶腹も一時 (ちゃばらもいっとき)
これはお腹がすいている時、水分で胃を満たすだけでも一時しのぎになるという言葉です。西洋人が不思議がる「立ち食いそば」もその流れを汲む一例です。日本人の満腹感は、主に胃の膨満によります。主食のご飯は水分が多く、これがまず胃を膨らませます。対象的に欧米人の場合は、脂肪やタンパク質が胃の膨張よりも少し遅れて小腸から消化管ホルモンを分泌させ、満腹と感じます。彼我(ひが)の食事時間の長短の違いも、ここからきています。日本人が欧米で食事をとると、ステーキなどのカロリーの高い脂肪やタンパク質を、膨満感を得られるまで食べがちです。明らかな食べ過ぎ。旅行の帰りには、ベルトの穴の位置が変わってしまう事になってしまいます。こうした満腹感の違いは遺伝的なものではなく、単なる食習慣です。長い海外旅行から帰ると、しばらく日本の食事が物足りなく感じるのは、脂肪とタンパク質の刺激による満腹感に移行しているからなのです。水分含量の高いご飯を主食にしている限り、欧米人の様に高脂肪食を大量にとる事は不可能ですが、それほど努力しなくても食習慣は簡単に変化してしまいます。実際、現代の日本人は、カロリー過多の食生活にどっぷり染まっていると言えるでしょう。「茶がゆ」などが貧しさの象徴のように思われていたのは高度成長期の時代まで。今こそ健康の知恵として学び直すべきでしょう。
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