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No.08


日本食のすすめ

ご飯考

宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」に「一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ」というくだりがあります。「一日に玄米四合」というのは現代から見ると随分多いようですが、日本人はもともと大量のご飯をわずかの副食で食べていました。栄養面ではどうでしょう。

ご飯は炭水化物のみと思われがちですが、玄米にはタンパク質が七%以上も含まれており、タンパク質食品でもあるのです。実際二〇年位前まで、日本人のタンパク質源の筆頭はお米でした。
賢治の詩に敢えて忠実に分析してみると、玄米四合でタンパク質四〇g、これに味噌の良質な大豆タンパク。また、ご飯のデンプン質をエネルギーに換える為にはビタミンB1が必要ですが、これも玄米には必要量の二倍は含まれています。この点、白米では問題があるという事です。「少しの野菜を食べ」でビタミンCも充分。体を使って働く人の食事としては完璧なメニューです。いかにも質素の美徳を表現したように見えても、農学者でもあった賢治にとっては、まったく現実的な意味合いがあったのです。

主食というのは遺伝的なものではなく、短期間の海外旅行などでも容易に変化しうる食習慣です。しかし、これほど日本の文化に根ざした食べ物。ご飯離れせず、もう一度見直してみてください。
大石