おいしさって何だろう
チョコレートの好きな人もいれば、嫌いな人もいる。いくらトンカツが好きだからといっても体調の悪いときには食べる気にはならない。一人よりみんなで楽しく食べたほうがおいしいし、田舎に帰ればおふくろの味がうれしい。味覚、おいしさとは食べ物自体の特性もさることながら、本人の心や身体の状態と非常に関係が深いのです。その評価は脳の働きのひとつで、おいしいと感じた場合脳内では麻薬に似た物質が分泌されます。これがおいしいという感情で表現され、同時に記憶されます。経験や学習の影響を受けやすく、疲れ、ストレス、悲しみ、喜びなどそれぞれの精神状態で食べたいもの、おいしいと感じるものが変化します。ある物を食べた後、たまたま体調が悪くなるとその味やにおいが記憶され嫌いになります。(味覚嫌悪学習)一方、病気からの回復期に食べたものが体調改善の快感と結び付けて記憶され好きになります。(味覚嗜好学習)まずいと思ったものでも繰り返し食べ続けるとうまさを感じるようになってきたり、宣伝や評判など人からの影響も受けます。以前おいしいと記憶された食べ物だから、いつでも欲しくなるとは限らないのです。強制的に食べさせられるより、お腹のすいているときに食べた方がよっぽどおいしいことは誰もが経験していることでしょう。味覚やおいしさの感じ方で身体の状態を知ることができるのです。偏食の多い人は、すでに身体の大切な生理機能が破綻をきたしている危険性があります。アスリートの身体を守るために、強くて丈夫な身体を作るためには何でもおいしく楽しく食べることができる状態=心と身体の健康を保つことが何より大切です。(山根武司)
事故を起こさないために
長距離走にロード練習は欠かせない。そこはいつも交通事故の危険と背中合わせだ。選手の皆さんなら誰もが車にぶつかりそうになった経験を持っているはず。謝りもせず、走り去っていく姿を悔しい思いで見送ったことだろう。ある事故の後遺症に苦しみ、高校駅伝で低迷している県がある。関係者の必死の努力にもかかわらず、長距離離れが深刻で全国大会の常連校でもメンバーを揃えるのがやっとの状態でいる。事故が個人の過失として見過ごされてしまうことが多い。後遺症が本人だけでなく、その場所に延々と残ることを危惧する。練習中の事故のニュースを聞く度に胸が痛む。たとえ命に別状はなくても練習の場所や方法に無理がなかったのか、という後悔にさいなまれる。そこで陸連に提案したい。練習環境作りに一役かっていただきたいのである。駅伝、マラソンが主流の国内でロード練習における安全確保は必至である。例えば市町村別に競技場を持つところが増えているが、トラックの許認可だけでなくクロスカントリーやランニングコースの併設を奨励して欲しい。また、ロードのコース指定も重要だ。中学、高校においては安全確保のための標識をコースに設置するなどの工夫も必要だ。そして、競技場の無料開放を奨励して欲しい。スポーツは個人の責任のもとに楽しむべきものだが、それには事故を起こさない環境作りが不可欠だ。(山根武司)
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